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メッキとは?メッキの種類や特性などをご紹介
2023年02月03日
よくメッキが剥げるといった言葉を耳にするかもしれませんが、そもそもメッキとはどんなものなのか、なぜメッキを施すのかまでくわしく知っている方は少ないかもしれません。
そこで、今回は、メッキにはどんな役割があるのか、さまざまな種類がある中で、それぞれのメリット・デメリットなどをご紹介していきます。
株式会社ブラザーでは、自動車部品の表面処理加工(メッキ加工)、半導体製造装置や液晶製造装置の表面処理加工を行なっています。
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目次
メッキとは固体表面に金属膜を生成させる技術の総称
メッキとは、金属や非金属に問わず個体の表面に金属の薄い膜を生成させる技術の総称で表面処理の一つです。
見た目は美しく仕上がり、メッキを行った素材の劣化や錆、摩耗の予防効果などが期待できます。
メッキを行う大きな3つの目的
メッキを行う目的には大きく3つあります。
● 機能メッキ:性質や機能の付与
● 防食メッキ・防錆メッキ:防錆や防食効果
● 装飾メッキ:表面の装飾
性質や機能の付与を目的としたメッキは、工業用途として使用される場合が多いです。
また、水を弾きやすくなり、光の反射を抑えるなどの特性が付与できます。
それだけではなく、熱伝導率を高くする熱特性の付与や電流が流れやすくなる電気特性、耐摩擦性を高められます。
どのような性質や機能が付与できるかはメッキの皮膜に使用する材質によって変わるので知っておきましょう。
次に防食・防錆は素材表面の強度を高めます。
最後の装飾メッキに関しては、メッキを均等の厚さで行うため見た目を美しく仕上げられるため行われています。
金メッキや銀メッキは古くから行われているメッキであり、主に装飾が目的です。
メッキに使用する材質によっては、半永久的に光沢を持たせられるものも存在し、身の回りで使用するメッキ製品の多くは装飾目的の場合が多いです。
メッキには大きく2種類がある
主流として使われているのは湿式ではあるものの、乾式も一定使用されているのが現状です。
乾式とは、真空でメッキ処理を行う方法です。
メッキ処理を行う金属をイオン化かガス化のどちらかを行い製品表面にメッキを蒸着させます。
真空でメッキを蒸着させるため「真空蒸着メッキ」と呼ばれる場合もあります。
湿式とは、電解質水溶液につけながらメッキを施すものです。
多くのメッキ処理はこちらの湿式が採用されています。
湿式のメッキ処理には3つの種類があります。
● 置換メッキ:イオン化傾向の差でメッキ加工を行う
● 電気メッキ:電解質水溶液と電極を使ってメッキ処理を行う
● 無電解メッキ:金属イオンの溶液に製品をつけて化学反応でメッキ処理を行う
湿式メッキの種類についても知っておきましょう。
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メッキの種類は多岐に渡る
メッキの種類には、メッキによりどんな性質や機能を付与させたいのかによって種類が変わるため、多岐に渡ります。
● 亜鉛メッキ
● ニッケルメッキ
● クロムメッキ
ここでは3つの種類の目的などを紹介していきます。
高い耐食性を付与できる亜鉛メッキ
亜鉛メッキとは亜鉛金属を電気の力や溶融させた亜鉛に浸漬させてメッキを施す方法です。
亜鉛メッキは防錆効果がかなり高く、鉄製品に対してメッキ処理を行う場合が多いです。
また、亜鉛は鉄よりもイオン化傾向が大きいため、傷などがあっても亜鉛が犠牲になり錆を防ぐ高い防食効果があります。これを犠牲防食といいます。
亜鉛メッキには電気亜鉛メッキと溶融亜鉛メッキがあり、それぞれ付与される特性が違います。
溶融亜鉛メッキと電気亜鉛メッキの特徴は以下の表の通りです。
溶融亜鉛メッキの特徴 | 電気亜鉛メッキの特徴 |
● 耐候性が高い
● 歪みが発生する場合がある ● 膜厚が増加する |
● 耐候性は劣る
● 変形や歪みが発生しにくい ● 膜厚が薄い |
メリットには主に4つあります。
● 錆にくい
● 腐食しにくい
● 長期間使用できる
● メンテナンスが少ない
そしてデメリットは2つです。
● スパングルと言われる幾何学模様が浮かび上がってしまう(品質には問題なし)
● 六価クロムを使った処理品は使えない
亜鉛メッキを使用する際には、デメリットも合わせて知っておきましょう。
耐食性や耐薬品性などに優れたニッケルメッキ
ニッケルメッキは、耐食性や耐薬品性、硬さ、柔軟性などにも優れているため物理的性質がよいです。
変色しにくく直接密着性の高いメッキ処理が可能になっています。
ニッケルはレアメタルの一つであり、性質自体は鉄に近いですが湿気に関しては鉄よりも安定しているので、装飾や防食の両面で使用されています。
ニッケルメッキの特徴は主に5つです。
● 光沢がある(ニッケルメッキの中の一つ)
● 表面を平滑にできる
● 硬度が高い
● 変色しにくい
● 耐食性が高い
そして、メリットは大きく5つあります。
● 下地がなくても光沢が出せる
● 直接密着性のよいメッキができる
● 厚く処理ができる
● 製品のそりが発生しない
● 導電性が高い
デメリットは、皮膜に均一性がない点や素材自体から錆てしまう可能性があります。
見た目が美しく変色や腐食がしにくいクロムメッキ
クロムメッキとは、見た目が美しく変色や腐食がしにくいため住宅機器や自動車部品、工業製品など幅広い用途で使用されています。
クロムメッキには、装飾用クロムメッキと硬質クロムメッキの大きく2種類あります。
装飾用クロムメッキは厚さ1μm以下であり光沢感があり、美しさを持たせたいときに選択される場合が多いです。
そして、硬質クロムメッキは厚さが1μm以上であり、硬度と耐摩擦性に優れているため機械部品や工業製品などに適しています。
装飾用クロムメッキと溶硬質クロムメッキの特徴は以下の表の通りです。
装飾用クロムメッキ | 硬質クロムメッキ |
● 硬質クロムメッキ同等の硬度がある
● 耐摩擦性に優れている ● 外観光沢に非常に優れている ● 耐食性または耐候性 など |
● 特に高度な耐摩擦性
● 摩擦係数が少ない ● 非常に硬い |
メリットは4つあります。
● 美しい光沢がある
● 耐食性が高い
● 耐熱性が高い
● 耐摩擦性が高い
そして、デメリットは3つです。
● 電流効率が悪い
● 技術的に難しい
● かぶりやすい(不良の一種)
技術的に使用が難しいため、幅広い使用はあまりされていません。
まずはメッキの特性などを知る
今回は、メッキにはどんな役割があるのか、さまざまな種類などをご紹介しました。
ここでは、メッキの種類は3つほどしか紹介できませんでしたが、実際はもっとたくさんの種類があります。
どんな特性を付与させたいのか、どういった場面に使用するものにメッキ加工を施すのかによって最適なメッキの種類を選んでメッキ加工を施すようにしましょう。
最適なメッキの種類を選べるように、まずは各メッキの特性などをくわしく知っていくとよいでしょう。
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