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亜鉛メッキと塗装の違いは?亜鉛メッキの種類や塗装の注意点をご紹介
2023年02月04日
表面処理の一種である亜鉛メッキですが、どんな役割を持っているのか、どんな時に使用されるのか詳しく知っている方は少ないかもしれません。
そこで、今回は亜鉛メッキとはどんなものか、塗装との違いや種類、注意点などをご紹介します。
亜鉛メッキや塗装について詳しく知りたい方、亜鉛メッキなどに関する職に就こうと思っている、就きたい方必見です。
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目次
亜鉛メッキは耐食性を付与できるメッキ処理の一つ
亜鉛メッキとは、亜鉛金属を電気の力や溶融で浸漬(しんせき)をして高い耐食性を付与できるメッキ処理の一つです。
メッキ処理の中でも、亜鉛メッキは不働態膜が生成されるため防錆効果が高く、主に鉄製品に対して行われています。
不働態膜とは、金属の表面に酸化した膜ができるため、酸が原因の腐食や酸化などから保護する状態です。
亜鉛は鉄よりもイオン化傾向が大きいため、亜鉛が犠牲となり錆を防ぎ、高い防腐効果が得られます。
これを「犠牲防食」と呼ぶ場合もあるので、合わせて知っておきましょう。
同じ表面処理の一つである亜鉛メッキと塗装の違い
亜鉛メッキと塗装はどちらも表面処理の一つで、耐食性の面で大きな違いがあります。
亜鉛メッキと塗装の同じ点は、製品上に皮膜を生成させる点や防錆などの機能付与を目的として処理を行う点です。
違う点としては、まず生成する皮膜の性質です。
亜鉛メッキなどは、金属皮膜を生成しているのに対し、塗装は樹脂などの金属以外でも皮膜を生成できます。
処理方法としては、亜鉛メッキの多くは亜鉛メッキ液に浸漬させて処理を行います。
一方で、塗装に関してはスプレーなどで吹き付ける方法や塗りつけるなどの方法が多いです。
そして、それぞれメリット・デメリットが違うので以下の表をご覧ください。
亜鉛メッキ | 塗装 | |
メリット | ● 均一性が高い
● 密着性が高い ● 耐久性が高い |
● 設備小でも可能
● 再塗装が簡単 ● コスト性がよい |
デメリット | ● 処理に時間がかかる
● 設備が大変 ● 再メッキが難しい |
● 均一性が低い
● 密着性が低い ● 耐久性が低い |
それぞれのメリットやデメリットを知ったうえで、適切な方法を選びましょう。
亜鉛メッキを施す2つの種類
亜鉛メッキには、メッキを施す方法で2つの方法があります。
電気亜鉛メッキと溶融亜鉛メッキがあるのでそれぞれ詳しく紹介していきます。
亜鉛メッキに浸して電気を流す「電気亜鉛メッキ」
電気亜鉛メッキとは、亜鉛メッキへ鋼材を沈め、電気を流し亜鉛皮膜を生成させる方法です。
次にご紹介する融解亜鉛メッキとは違い、高温にならないため熱が原因の製品のゆがみやねじ部分もそのまま使用が可能になっています。
微細な傷であっても、犠牲防腐作用の効果で錆から守れます。
主な用途は屋内用の機械や発電所などの重電部分です。
ただし、電気亜鉛メッキのみの場合は亜鉛メッキで生成した皮膜が酸化、腐食してしまう可能性があります。
そのため、多くの場合は亜鉛メッキの皮膜を行ったあとにクロメート処理を施し、一層亜鉛メッキの耐食性を向上させています。
クロメート処理とは、六価のクロム酸を主成分としている処理液で表面処理する方法です。
亜鉛だけではなくアルミニウムやマグネシウムに対して、クロメート処理を行うと六価クロム効果を相まって耐食性を高められます。
溶かした亜鉛槽に浸漬させる「溶融亜鉛メッキ」
溶融亜鉛メッキとは、高温で溶かした亜鉛に鋼材を浸して、亜鉛皮膜を生成させる方法です。
先ほどご紹介した電気亜鉛メッキよりも、亜鉛と鋼材から形成される合金層により、互いの金属が強く結合している為、長期間メッキがはがれにくくなっています。
亜鉛を溶かしてそこに鋼材を浸すため、どぶ漬けメッキと呼ぶ場合もあります。
溶融亜鉛メッキの防食機能の特徴は大きく2つです。
● バリアー機能:外部からの酸素や水分などの腐食因子から遮断し鋼材の腐食を防ぐ
● 保護皮膜作用:酸素や二酸化炭素などと反応し腐食生成物が不働態皮膜となって亜鉛メッキの消耗を低下させる
溶融亜鉛メッキは、建築物やガードレールなど幅広く活用されています。
しかし、高温のメッキ液に浸すため、鋼材が沿ってしまったり膜が厚くなったりするので精密部品への使用ができない可能性があります。
亜鉛メッキの上からさらに塗装を行う4つの理由
場合によっては、亜鉛メッキを施したうえで塗装を行う場合があります。
● 環境美化や安全対策
● 腐食しやすい環境での耐久性の保持
● 補修が難しい構造物などへの耐久性の付与
● 亜鉛メッキの補修塗装
亜鉛メッキを施したうえで塗装する理由は、主に上記のような理由です。
塗装する際に注意すべき塗料成分とは?
亜鉛メッキ上に塗装する際の注意点として、塗料成分があります。
亜鉛は比較的活性の高い金属であるため、ほかの鉄素材と同じように塗装を行ってしまうと亜鉛と塗料成分が反応する可能性があります。
亜鉛と塗料成分が反応してしまうと、塗膜剥離などの事故が起きてしまうかもしれません。
しかし、適切な塗料成分を選んで塗装を行えば、亜鉛メッキだけの寿命に塗膜の寿命が足されるため、約2倍の耐久性に相当します。
避けるべき塗料成分として、油性・アルキッド系のものは避けた方がよいでしょう。
逆に常乾型塗料であればエポキシ系や塩化ゴム系、焼付型粉体塗料であればエポキシ系やアクリル系がよいでしょう。
亜鉛メッキやと塗装は使用場面や組合わせに注意
今回は、亜鉛メッキとはどんなものか、塗装との違いや種類、注意点などをご紹介しました。
亜鉛メッキとは、亜鉛金属を使い高い耐食性を付与できるメッキ処理の一つです。
亜鉛メッキの種類としては、電気亜鉛メッキと溶融亜鉛メッキがあるので、どこに使用する鋼材なのか、精密部品に使用するのかなどを考慮してどちらを選ぶか決めるとよいでしょう。
また、亜鉛メッキの耐久性を高める方法として亜鉛メッキ上に塗装を行う方法があります。
しかし、塗料成分によっては耐久性を高めるのではなく塗膜剥離などが起こってしまう可能性があるので、亜鉛メッキ上に塗装を行う際には塗料成分によく注意するようにしてください。
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