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メッキの特徴は?3つの目的や2つの処理方法、メリット・デメリットなどを解説
2023年07月27日
板金業界の専門用語としてよく聞く言葉に「メッキ」があります。
メッキと言うと、「メッキがはがれる」などと言うように、偽物のことを言うのだと思っている人も多いと思います。
しかし、製造業におけるメッキは、加工した製品にさまざまな表面処理をほどこす重要なものです。
この機会にメッキの表面処理方法の種類や特長、処理工程、塗装との違いなどについて知っておきましょう。
目次
メッキとは
金属やガラス、プラスチックなどの非金属の製品に薄い金属の薄い膜をつくる表面処理の加工技術のことをメッキと言います。
劣化やサビ、摩耗を防止するコーティングの効果があり、強度や耐久力を増すことができます。
たとえば、古くなって色あせた時計やスプーン・フォークも、再びメッキをほどこせば、見た目も美しく、新品のように輝いて見えるでしょう。
3つの目的
大きく分けて以下の3つの目的がメッキにはあります。
1.機能の付加
加工した製品にメッキをほどこすことで、防水機能や、光の反射を抑える機能を持つようになります。
あるいは、熱伝導率を高くしたり、電流が流れやすくしたりできます。
さらに、摩擦による消耗を抑えることもできます。
2.防食
メッキは、鉄製品などのさびを防ぐ効果もあります。
また、製品のさびを防ぐことだけではなく、耐久性を高めることも可能です。
3.装飾
装飾する目的で製品の表面にメッキがほどこされる場合もあります。
メッキは装飾目的のものが一番多いようです。
2つの処理方法
メッキは、乾式と湿式の2つの処理方法に区別されます。
それぞれどのような違いがあるのでしょうか。
1.乾式
メッキを行う際に真空状態をつくります。
金属をイオン化したりガス化したりして製品の表面にメッキを付着させます。
物理蒸着メッキや化学蒸着メッキが乾式の代表的な例です。
2.湿式
一般的にメッキというとこの湿式方法によるものがほとんどであり、電解質水溶液に漬けながらメッキを施します。
具体的には下記の3つがあります。
① 置換メッキ
金属を水槽の中で溶かし、溶けた金属を素材に付着させる方法です。
② 電気メッキ
電極と電解質水溶液を使用してメッキ処理する方法のことです。
③ 無電解メッキ(化学メッキ)
無電解メッキとは、電気を使用せず、金属イオンの溶液に製品を浸し、化学反応を引き起こすことでメッキをする方法です。
使用する金属
ここで、メッキに使用される代表的な金属をいくつかご紹介しましょう。
1.ニッケル
一般的に電気メッキや無電解メッキに用いられます。
さびの防止だけでなく、素材の表面に光沢を出したり耐熱性を高めたりすることが可能です。
たとえば、眼鏡やPCのハードドライブによく使用されます。
2.クロム
硬度が高く耐摩耗性に優れています。
機械や自動車の部品など摩耗しやすいカ所に使用される例が多いようです。
さびの防止や耐食性もあるため、水に濡れやすい水道管などにも使用されます。
また、製品の表面を光沢のあるものにする際にも効果的です。
3.銅
電流や熱伝導率が高いので、プリント配線基板に使用されることが多いようです。
また、銅は比較的コストが安いのも特徴です。
電気伝導性に優れているため、電子部品などにもよく使用されます。
また、高級感があるのでアクセサリーやライターなどをきれいに見せるためにもよく使用されます。
4.銀
コネクタの接続カ所やアクセサリー、食器などによく使用されます。
強い輝きを持つので、ネックレスや指輪などのアクセサリーの素材としても有名です。
塗装との違い
塗装もメッキと類似した表面処理方法で、素材の表面をコーティングするのはメッキと同じです。
しかし、メッキの場合は金属を溶かした液体に素材をひたしてコーティングしますが、塗装の場合は樹脂や油で作られたペンキを塗ってコーティングするという違いがあります。
メッキのメリット・デメリット
メッキのメリットとしては以下の点があげられます。
1.メッキによる表面処理により、希少金属である金などの節約ができるため、コスト削減が可能です。
2.金属は、その性質としてさびやすいのですが、メッキによってさびにくくし、ひいては金属の寿命を延ばすことができます。
3.金属の中には、熱を通しにくいものもあり、ステンレスなどがその例です。
ステンレス製のなべやフライパンなどに、熱を通しやすくするためにメッキ処理をほどこします。
逆に熱耐性を持たせて熱くなりすぎないようにすることもあります。
飛行機のエンジンなどがその例です。
4.細かい電子回路を持つスマホやPCなどにメッキをほどこすことで電流の流れを調整することがあります。
5.歯車やねじなどの部品が摩擦によってすり減ることのないように、メッキをほどこして強度を高めることが可能。
6.電化製品やアクセサリー、車のエンブレムなどをきれいに見せます。
メッキのデメリット
一方、メッキのデメリットとしては以下の点があります。
・メッキ処理の前工程や後行程など作業に手間がかかる
・メッキの処理方法によって異なる設備が必要なので、初期費用やランニングコストがかかる
・メッキの種類によっては、製品の素材との相性が合わず、メッキがほどこせない場合がある
まとめ
ほとんどの現代の家電製品やアクセサリーはメッキ処理がされています。
メッキがされてない金属製の商品はもはや存在しないと言っても過言ではありません。
メッキには、費用の削減や、装飾品をきれいに見せるという効果の他に、さびや摩耗を防ぐことができるというメリットがあります。
一方では、設備投資や維持費用といったコストがかかりますし、素材によってはメッキがほどこせないというデメリットもあります。
設備や製品にメッキをほどこす場合は、メッキが表面処理に適しているのかを十分に事前検討することが大切です。